
今回は、少し専門的なようで意外と身近なPC用語、「RAID(レイド)」と「NAS(ナス)」について取り上げます。
最近ではYouTuberや動画編集を行う人たちの間でよく聞くこれらの言葉ですが、「一般家庭にも必要なの?」「ゲームしかやらない自分には無関係?」と感じている方も多いと思います!
この記事では、初心者の方にもわかるように、RAIDとNASの意味や違い、そしてどんな人に必要かを丁寧に解説していきます。
目次
RAID(レイド)とは?
RAIDとは、複数のハードディスクやSSDをまとめて、ひとつのストレージとして使う技術のことです。読み方は「レイド」。もともとはデータセンターやサーバーなどの分野で使われていましたが、今では家庭用のNASや自作PC環境でも使われています。
RAIDの主な目的は2つあります。
ひとつは「データの安全性を高めること」。たとえば、ハードディスクが1台壊れても、別のディスクに同じデータが保存されていれば復元できます。
もうひとつは「読み書きのスピードを速くすること」。複数のディスクに同時にアクセスすることで、処理速度が向上します。
RAIDにはいくつか種類がありますが、初心者が押さえておきたいのは以下の2つです。
• RAID 0:データを複数のディスクに分散して保存することで高速化。安全性は低く、1台でも壊れるとすべてのデータが失われる。
• RAID 1:全く同じデータを2台のディスクに保存する方式。ひとつが壊れてももう一方から復元可能。ただし、保存容量は半分になる。
RAIDはあくまで「技術」であり、それ単体では動作しません。RAID対応の外付けドライブやNAS機器、あるいは自作PCでRAID設定を組むことで初めて使えるものです。
NAS(ナス)とは?
NASとは、「ネットワークに接続して使える外部ストレージ」のことです。読み方は「ナス」。正式名称は「Network Attached Storage」です。
一般的な外付けHDDはUSBケーブルでパソコンに直接接続しますが、NASはLANケーブルやWi-Fiを使ってルーターに接続します。これにより、同じネットワーク内にある複数のPCやスマホからアクセス可能になります。
NASは、簡単に言えば「みんなで使えるHDD」です。家族全員のスマホの写真を保存したり、リビングのテレビでNASに保存した映画を観たり、外出先からデータにアクセスしたりもできます。
しかも最近のNASは、スマホの専用アプリやWebブラウザから設定できるものが多く、初心者でもすぐに使えるよう設計されています。
また、多くのNASはRAIDに対応していて、中に2台以上のHDDを搭載して安全性を高めることができます。つまり、NASの中にRAIDを組み込むことで、「データを共有しながら、しっかり守る」という便利な仕組みが実現できるのです。
RAIDとNASの違いは?

ここで混乱しやすいのが、「RAIDとNASって似たようなものじゃないの?」という疑問です。確かに、どちらもストレージ(保存装置)に関係しており、データを守ったり共有したりするために使われます。
ただし、大きな違いは「RAIDは技術であり、NASは製品(機器)」だという点です。
RAIDはあくまで「データをどのように保存するか」という仕組み。一方、NASは「データをどこに保存するか」という実体のあるストレージです。
NASの中にRAIDを使うことはよくありますが、RAIDを使うには必ずしもNASが必要というわけではありません。例えば、自作PCに複数のSSDを積んでRAID構成を組むことも可能です。
ゲーミングPCユーザーや家庭で必要?
では、RAIDやNASは実際に必要なのでしょうか?
これについては、「どのような使い方をしているか」が判断のポイントになります。
まず、RAIDは「大切なデータを安全に保存したい人」や「高速なデータアクセスが必要な人」におすすめです。たとえば、動画編集をしていて高画質な素材を大量に扱うYouTuberや、ビジネスで重要なファイルを日常的に扱う人などが対象です。
一方で、普通にゲームを楽しんでいるだけのゲーミングPCユーザーには、RAIDの必要性はそれほど高くありません。ゲームのデータはクラウドや再インストールで復元できるケースが多いためです。
次に、NASですが、こちらは一般家庭にもおすすめできるアイテムです。
家族でスマホ写真を共有したい人や、自宅のテレビで映画を観たい人、スマホやPCのバックアップ先を探している人にはぴったりです。特に、クラウドサービスの容量に不満がある方にとっては、自分専用のクラウドが持てるというメリットがあります。
さらに、ゲーマーの中でも配信をしている方や、録画データ・スクリーンショットを大量に保存しておきたいという方には、NASを動画・画像置き場として活用するのも一つの手です。
RAIDやNASは上級者向け?
「RAIDやNASって上級者向けで難しいんでしょ?」という声も多く聞きます。確かに一昔前は設定が複雑で、専門的な知識が求められる場面も多かったです。
しかし現在は、家庭向け製品がどんどん進化しており、スマホアプリや直感的なWeb画面で簡単に設定できるようになっています。初期設定の手順も丁寧に解説されているモデルが増えており、パソコン初心者でも数分でセットアップが完了することも珍しくありません。
要するに、今のRAIDやNASは「上級者向け」ではなく、「初心者でも手を出せる上級機能」と言える存在になっているのです。
初心者におすすめの製品は?
これからRAIDやNASを導入してみたい初心者の方には、次のような製品がおすすめです。
ひとつは、SynologyのNASシリーズ。中でもDS223jは初心者にも扱いやすく、スマホアプリからのアクセスや設定も可能で、自宅クラウドとして人気があります。
もうひとつは、BUFFALOのLinkStationシリーズ。日本メーカーという安心感と、わかりやすいUIで家庭にもよく使われています。RAID1にも対応しており、バックアップ用途にも最適です。
どちらも2ベイ(2台のHDDが入る)モデルが主流で、ミラーリングによってデータ保護を実現できます。初めてのNAS導入にはぴったりの機種です。
まとめ
RAIDとNASは似ているようでまったく違う存在です。RAIDは「データ保存の仕組み」、NASは「ネットワークにつながる保存装置」。NASの中にRAIDを組み込むことで、データの共有と安全性の両立が可能になります。
ゲーミングPCユーザーでも、配信や編集などで大容量データを扱うなら、NASやRAIDは導入を検討する価値があります。一方で、一般家庭でも写真や動画の共有、スマホのバックアップなど、便利な使い道がたくさんあります。
最初はとっつきにくく感じるかもしれませんが、今は初心者向けに親切な製品が豊富です。用途に合ったモデルを選べば、PC生活がもっと快適になりますよ!