
最近、有名ガジェットインフルエンサーのこのような意見を見ました。
これは本当にそうで、少し前までなら「GPUは高いけど、それ以外は安い」という状況でした。グラフィックボードだけが異常に高くても、SSDやメモリは比較的安価だったため、CPUやマザーボードを含めた全体の価格を調整することができました。
しかし2026年現在のPC市場は少し違います。
GPUが高い。SSDも高い。メモリも高い。
PCを構成する主要パーツが同時に値上がりしており、「どこかでコストを削れば何とかなる」という状態ではなくなってきています。
少し前は「GPUだけ高い」から何とか自作PCが成立していた
自作PCが一般ユーザーにとって魅力的だった理由の一つは、必要な部分にだけお金をかけられることでした。
例えば
・ゲーミングPCならGPUに予算を集中し、SSDやメモリ、ケースなどは価格の安い製品を選ぶ。
・逆に動画編集や開発用なら、GPUを抑えてCPUやメモリを強化する。
このように、自分の用途に合わせて予算配分を変えられることが自作PCの大きなメリットでした。
特にSSDとメモリは、ここ数年前かなり安価な時期がありました。
「メモリはとりあえず32GB」「SSDは1TB以上」といった構成でも、以前ほど大きな負担にはならなかったため、高価なGPUを購入してもPC全体の価格をある程度抑えることができました。
ところが、その前提が崩れています。
2026年にはAIやデータセンター向けの需要拡大によって、DRAMやNAND Flashの需給が大幅に増え、市場からなくなりました。TrendForceの調査では、2026年に入ってから一般的なDRAMやNAND Flashの契約価格が大幅に上昇しており、PC向けの供給もAI・サーバー向け需要の影響を受けています。(TrendForce)
つまり現在は、GPUだけでなく、PCを構成する基本的な部品ほとんど全てが需要過多により高くなっているのです。
みなさんもGPUさえ安ければといっていましが、今は全部そうなのがつらいところですね。。。
AIブームが「自作PCユーザーの財布」を直撃している

今回の値上がりがこれまでと違うのは、単純な半導体不足ではないことです。
AI向けデータセンターでは、膨大なGPUだけでなく、大容量のメモリや高速ストレージも必要になります。
そして半導体メーカーにとっても、一般ユーザー向けのPC用メモリよりAIサーバーやデータセンター向け製品の方が効率よく売れる場合があります。
その結果、製造能力がAI・サーバー向けに優先的に振り向けられ、一般的なPC向けDRAMやSSD用NAND Flashの供給が相対的に減少するという構造ができているみたいです。(TrendForce)
実際、2026年にはAI需要を背景とした半導体部品不足について、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)も、サーバーやストレージなどのIT機器で価格高騰や納期長期化が発生しているとしています。
これまでPCパーツ市場では、
「新しい製品が出れば古い製品は安くなる」
という流れが比較的当たり前でした。
しかし現在は、新世代製品が登場しても、半導体そのものの供給不足やAI需要によって、必ずしも価格が下がるとは限らなくなっています。
20万円出しても「そこそこのPC」になってしまう問題
自作PCが厳しいと感じる最大の理由はここでしょう。
以前なら20万円という予算は、かなりしっかりしたゲーミングPCを組める金額でした。
もちろんGPUによって差はありますが、「20万円も出せば十分高性能」という感覚を持っている人も多いはずです。
しかし現在は、GPUだけで予算の大部分を使い、さらにメモリとSSDまで高騰しています。
CPUやマザーボード、電源、ケース、CPUクーラーまで揃えると、20万円という予算は決して余裕がある金額ではありません。
実際、2026年は国内PC価格にも値上がりの影響が出ており、PC Watchはメモリ・SSD価格の高騰を背景にPC価格が本格的に上昇していると報じています。(PC Watch)
もちろん「20万円でローエンド」という表現は用途によっては言い過ぎだと思います。
普通のゲームや一般的な作業であれば、20万円のPCは十分に高性能です。
ただし問題なのは、20万円という金額に対する性能の期待値が昔より明らかに下がっていることです。
「20万円出したのに、この程度なのか」と感じる人が増えるのは自然でしょう。
20万円だと、ゲームなどはできますが動画編集や3D作成などまでやるとなるとできなくはないけど、少し重たくなるくらいのスペックですね!
自作PC市場が終わる可能性はあるのか

ただ、私は「自作PCそのものが完全に終わる」とまでは思いません。
自作PCには、完成品PCにはないメリットがあります。
・必要なパーツだけ交換できること。
・SSDやメモリを後から増設できること。
・故障した部品だけ交換できること。
そして何より、自分の用途に合わせて構成を自由に決められることです。
しかし、「安く高性能なPCを作るための自作」という魅力は確実に弱くなっていると思います。
昔は「BTOより自作した方が安い」という時代がありました。
しかし現在は、大量購入できるBTOメーカーの方が部品を安く確保できる場合もあり、保証や組み立ての手間まで考えると、初心者が自作PCを選ぶ理由は以前より少なくなっています。
自作PCは今後、「安いから選ぶもの」ではなく、
自分好みのPCを作りたい人が選ぶより玄人向けの趣味
に戻っていくのかもしれません。
AIが発展するほどPCを買う人が減るという皮肉
AIブームによって半導体メーカーやGPUメーカーは大きな利益を得ています。
しかし皮肉なのは、そのAIブームによって一般ユーザー向けPCの価格が上がり、PCを買う人そのものが減る可能性があることです。
高性能なAIを開発しても、それを利用するためのPCや周辺機器が高すぎれば、一般ユーザーに普及しにくくなります。
実際、部品価格の高騰はPCメーカーの価格にも影響し始めており、消費者が価格を受け入れられる限界に近づいていると言われています。
AI市場は企業向けデータセンターだけで完結するものではありません。
最終的には、一般ユーザーがPCやスマートフォンなどの端末を使い、その上でAIサービスを利用することで市場が広がっていきます。
その入口となるPCそのものが高価になれば、長期的にはAI市場にとっても決して良い話とは言えないでしょう。
作ったはいいけどPCが高すぎてフルで使える人がいないとなりかねないのが今の高騰の問題点ですよね。
まとめ:自作PCは「終わった」のではなく、明らかに買いにくくなった
2026年のPC市場を見ると、「自作PC完全に終わった」という意見に共感する人が増えるのも理解できます。
GPUだけ高いなら、他のパーツで調整できました。
しかし現在はGPUに加えて、SSDとメモリまで高い。
自作PCの価格を下げるための逃げ道が少なくなっています。
特にAIブームによって、一般ユーザー向けPCパーツが企業向けAI・データセンター市場と同じ半導体供給を奪い合う構造になったことは大きな変化です。
自作PCが完全になくなることはないでしょう。
ただ、「20万円あればかなり良いPCが作れる」という感覚や、「自作なら安く済む」という常識は、少なくとも現在の市場では通用しにくくなっています。
自作PCは終わったのではない。
しかし、一般ユーザーが気軽に始められる市場ではなくなりつつある。
2026年のPCパーツ市場は、そんな転換点に立っているのかもしれません。